シオン
「なるほど。それは災難でしたね、さつき」
さつき
「でしょ? ちょっと黒猫さんの頼みを聞いただけなのに、
シエル先輩は本気で襲ってくるし、
一番おっかない人までも出てくるしさー。
肝心の遠野くんは気付いてくれないし。
なーんか、労働と報酬が合ってない気がする」
シオン
「さつきは期待値を高く望みすぎです。
だいたい、あの志貴がさつきの活躍に気づく筈がない。
志貴はこの手の話のみ、鯨の如き鈍感さですからね」
さつき
「そうだよねー。
いいかげん、わたしも我慢できなくなっちゃいそう。
……ね、シオン。
いい機会だし一度遠野くんをびっくりさせてみない?」
シオン
「ほほう。いささか物騒ですが、志貴にはいい薬になる。
いいでしょう、その悪巧み―――
いえ、その名案に協力します」
さつき
「ほんと!?
よーし、なら具体的に話を決めよっ!
シオン、なんかいいアイデアとかある?
わたしは一個もないんだけど……」
シオン
「……案なら三桁ほどありますが。
さつき、貴方が報われない理由が、少しだけ分かった気がします」