MELTY BLOOD
&
MELTY BLOOD
-Re・ACT-
■ストーリーモード■
3/なんてことだ
dead end love song !
Fルート
ぽーん、と吹っ飛ぶ秋葉。

遠野秋葉
「あう……!」
や――――やっちまったーーーーーーっ!
つい調子に乗って、常日頃いじめられてきた借
りを返してもいっかなー、と途中からかなり乗り
気になってしまった気がするのですがっ!
遠野秋葉
「く―――どうやら本気で私を亡き者にするつも
りのようね兄さん……!」
俺のノリノリさが伝わってしまったのか、秋葉
も素敵なまでに勘違ってる。
遠野志貴
「誤解、誤解だ秋葉!
俺だっておまえと戦いたくはないんだけど、シ
オンが勝ってに――――」
遠野秋葉
「そうね、兄さんにとってみれば私は邪魔者だも
の。私さえいなければ遠野家は長男である兄さん
の物になる。―――琥珀が危惧していた事が本当
になるなんて、私も残念だわ」

遠野志貴
「わー、琥珀さんったらまた、イタズラに有るこ
と無いこと吹聴してるのかー」
遠野秋葉
「けど、そう簡単には行かなくてよ兄さん!
遠野家が欲しければ、もう一度私を乗り越えて
ごらんなさい!」
ふふふふふ! と気合いの入った忍び笑いをこ
ぼし、ズシャ―と走り去っていく秋葉。
向かう先は言うまでもなく遠野の屋敷だろう。
遠野志貴
「――――――」
シオン
「何をしているのですか志貴!
彼女を追います……!」
遠野志貴
「え? ……本気、シオン?」
シオン
「本気です。何故かは解りませんが、今は彼女を
追いかける事が重要な気がするのです」
遠野志貴
「……気がするって……なんかシオンらしくない
な。君さ、もっちちゃんとした情報に基づいて行
動しなかったっけ?」

シオン
「志貴に言われなくとも承知しています!
ですが、今はそんな気がするんですから気がす
るんです! さあ、早く彼女を追いかけましょう!」
だだだー、と走り出すシオン。
遠野志貴
「……なーんか、やな予感がするんだけどなー……」
こぼしても始まらない。
シオンの糸がまだ繋がっている以上、俺は彼女
に付き合うしかないんだから。


遠野のお屋敷はいつもおっきい。
あたしの家もおっきい方だと思うけど、ここに
比べたらまだまだヒヨヒヨだと思う。

有間都古
「――――――」
ピンポンを押そうと背伸びする。
けど、ちょっと考えたあと、正せい堂どうとお
じゃましてもダメだな、と思った。
有間都古
「……ここは敵陣だもん。注意しないとすぐにや
られちゃうに決まってる、うん」
ぶどう家としてどうかと思うけど、今日は果た
し合いじゃないんだからヒキョーじゃないはず。
だいたいヒキョーと言えば、お兄ちゃんをずっ
と閉じこめてるここの人たちの方がだい悪人なの
だ。
有間都古
「あ、ここ入れそうだ」
鉄ぼうの間に入り込む。
手は簡単に通りぬけたけど、顔でつっかえてし
まった。
むぎゅーっ、ってほっぺたがつっかえる。

有間都古
「えへへ、しっぱいしっぱい」
うん、やっぱりぶどう家たるもの、実力行使で
正せい堂どうがいちばんだと思う。
有間都古
「……この鉄ぼうを曲げるか飛びこえるかかぁ」
てや、と鉄ぼうに冲捶。
……おしい。きっとあと一回ぐらいでばあーんっ
てふっ飛ぶけど、指が痛いからやめておこっと。
有間都古
「……むむ。敵戦力、あたしの三倍ややプラス」
見上げちゃうぐらい高い鉄ぼう。
けど達人なら、これぐらいトーンと飛びこえた
りできるんだろう。

有間都古
「てやーーーー!」
うん。
考えるのは苦手だから、とりあえずやってみた。
ばたん、と地面に落っこちた。
「いたたた……」
おしりをさすりながら立ち上がる。
目の前には、びっくりするぐらいごうかですて
きなお屋敷がある。
有間都古
「……なーんだ、たあいない」
これも日頃のこんふーのおかげなのだ。
有間都古
「……えっと、きっとあそこが玄関よね」
そろそろと歩いていく。
……こうやって勝手に入っていくのは悪いこと
だけど、おなかとせなかは変えられないのだ。
だいたい悪いのはここの人たちだ。
お兄ちゃんはあたしのお兄ちゃんなんだから、
他の女の人といっしょにいるのはおかしいと思う。
あと、夏になってからお兄ちゃんはまだスイカ
を食べに来ない。やっとタネをのけてキレイに食
べられるようになったんだから、今年こそいっしょ
に道場で食べなくちゃ。
有間都古
「お兄ちゃん、きっと閉じこめられてるんだ。
この家には恐い人がいっぱいいるって、お母さ
ん言ってたもん」
あれ、言っていたのはおにいちゃんだったっけ?

そろー、っと窓から中を覗き見る。
……お城みたいな玄関には、女の人が三人いた。
一人はアキハ。お兄ちゃんが“屋敷で一番強い
人”と言っていたヤツだ。
あたしも何度か会ったコトがある。アイツはやっ
つけなくちゃいけない候補そのいち。
二人目はコハク。お兄ちゃんが“屋敷で一番油
断ならない人”と言ってたヤツ。
着物を着ているからきっとそう。
なんでも色んなクスリを持ってて、最後におい
しいところを独りじめするらしい。
そーげんのじじいに言わせればじんたいじっけ
ん一歩手前なんだって。
じんたいじっけんってなんだって訊いたら、じ
じいはナ●スみたいなコトだって教えてくれた。
……よく分からないけど、なんか一番の強敵な気
がする。達人は達人を知るのだ。
ともかく、アイツもやっつけなくちゃいけない
候補そのに。
三人目はヒスイ。お兄ちゃんが“屋敷で一番忍
耐がある人”と言ってたヤツ。
……強そうに見えないけど、たしかに鉄みたい
にガンジョーそう。あたしの冲捶が通用するかど
うかふあん。
ともかく、アイツもやっつけなくちゃいけない
候補そのさん。
有間都古
「……なに話してるのかな」
三人はなにやらもめているみたい。
アキハがコハクとヒスイに怒鳴っていて、
ヒスイはぼーっとしてて、
コハクはニコニコ笑っている。
そんな二人に怒ったのか、ただでさえ恐いアキ
ハはもっと恐くなった。
…………あれ?
ぱたん、と床が開いて、アキハが落っこちてい
く。

遠野秋葉
「計ったわね琥珀ーーーー!」
ぱたん。
床は元通りになって、コハクはクスリと笑った。
……うん。
やっぱり、コハクが一番の強敵みたい。

屋敷に帰ってきた。
遠野志貴
「……はあ。なんだってこんな事になったんだろ
う……」
どうもよく判らないが、シオンじゃないけど今
はこうするのが自然な気がするのだ。
……しかし、さっき秋葉を負かしただけで大問
題だって言うのに、さらに秋葉を追いかけてケン
カを売るなんて正気の沙汰ではない。
そこまで判っているのに、どうも場の雰囲気に
流されてこんな所まで来てしまった。
シオン
「遠野秋葉は屋敷の中ですね。急ぎましょう、志
貴」
……シオンもなんだか性格変わってるし……

琥珀
「お帰りなさいませ志貴さん。あら、お客様です
か?」
翡翠
「………………」
ロビーには琥珀さんと翡翠がいた。
……秋葉の姿はない。
加えて、なぜか翡翠がこっちを睨んでいた。
遠野志貴
「ただいま―――で、唐突だけど秋葉は何処?」

翡翠
「秋葉さまはおられません。お疲れのようでした
のでお休みになっていただきました」
……うわ。やっぱり翡翠は怒ってる。

琥珀
「ええ、秋葉さまったら珍しく動揺してたんです
よ。ですから少しばかり強引に、ちょっと秘密空
間でお休みしてもらっちゃいました」
そして、そこはかとなく言動のおかしい琥珀さ
ん。
遠野志貴
「……あの。ぶっちゃけ訊くけど、何かあった?」

翡翠
「……志貴さまが秋葉さまに手を上げたと聞きま
した。そればかりか、遠野家当主の座が欲しいば
かりに怪しげな企てをしていると。
……志貴さま、ご乱心にも程があります」

琥珀
「そーですよ志貴さんっ! お気持ちは解ります
が、そんな大それた事を企んじゃいけませんっ!
だいたいですね、遠野家の当主になんかなって
も大変なだけですよ? 当主は秋葉さまになって
いただき、それを裏から操ったほうが素敵じゃな
いですか!
はい、それがわたしが立案する、正しい遠野家
制圧計画です!」
遠野志貴
「いや、それはただの誤解なんだけど……琥珀さ
ん、今なんかすっごい事言わなかった?」
翡翠
「志貴さま、姉さんの言葉を鵜呑みにしないでく
ださい」
遠野志貴
「あ、そだね」
シオン
「…………志貴。この二人にはあまり興味はあり
ません。今は遠野秋葉を優先したい」
遠野志貴
「いや、んな事言われても。秋葉はいないって言
うんだからいいじゃないか」
シオン
「いいえ、遠野秋葉はこの屋敷にいる。そこの二
人は遠野秋葉を匿っているだけではないですか」
遠野志貴
「そりゃ匿うよ。二人は遠野家の使用人なんだか
ら」

琥珀(アンバー)
「ふふふ、それはほんの五分前までのお話ですけ
どねー」

遠野志貴
「な、今のは!?」
琥珀
「はい、なんでしょうか志貴さん?」
……気のせいか。
一瞬、琥珀さんがシリアス世界でいてはいけな
い魔法少女になっていた気がする。
遠野志貴
「……? 居てはいけない、と不安に思う……?」
あれ。なんかそーゆーの、今はすっごくしては
いけない事ではなかったか。
いや、何の根拠もないんだけど。
シオン
「―――ともかく貴方たちに用はありません。
志貴、遠野秋葉を捜しましょう」
翡翠
「……おやめ下さい。秋葉さまを捜すというので
したら、お客様であろうと失礼をさせて頂きます
が」
琥珀
「そうですよー、いくら志貴さんでも遠野家乗っ
取りを企んでいるのであればライバルです。
秋葉さまの命に従い、ここでお仕置きしちゃい
ましょう!」
ざっ、と身構える二人。
遠野志貴
「ばか、何言ってんだ二人とも……! 俺はとも
かくシオンに冗談は通じないんだ、そんなコトいっ
たら本当に殺され――――」
る、と思うんだけど。
なんか、二人の構えには隙がないというか、下
手すると俺より強そうな気がするのはどうしてで
しょーかー。
遠野志貴
「……あの。二人とも、武道の心得なんかあったっ
け?」
翡翠
「僭越ながら、つい先程開眼させて頂きました」

琥珀
「はい、わたしも先程ぴかーんって背中が光って
達人になれました。日頃から秋葉さま程ではない
にせよ、泥棒さんを追い払える程度には戦えたら
いいなー、と思っていたおかげでしょうか」
遠野志貴
「――――――」
そんな訳はない。
ないんだけど、きっとそうなのだろう。
人生には最高の日ってのがあって、何をしても
上手く行く時がある。
琥珀さんにとって、今日がその“なんか、何で
も思い通りにコトが運ぶ”日なのかもしれない。
遠野志貴
「って、そんな無茶苦茶な話があるかー!
さっきからヘンだぞシオン、なんとなくバグっ
てないか、これ!」
シオン
「――――なるほど。どうやらタタリは彼女を依
り代にしたようですね」
一人勝手に納得して銃を構えるシオン。

翡翠
「……姉さん。あの人は、志貴さまに良くない方
です。ここでお帰り願っていいですね?」

琥珀
「ええ、銃を隠し持っている女性なんて志貴さん
の手にあまります。ここはわたしたちが、またひょ
いひょいと女の子を連れてきた志貴さん共々こら
しめてあげましょうねー」
ざっ、と身構える二人。
シオン
「……ふん。多少可能性をいじられた程度で私に
挑むというのですか。その思いあがり、私の式で
正すしかないようですね」
キリ、と腕輪からエーテライトを出すシオン。
遠野志貴
「ああもう、なんだってこんなコトにーーーー!」
戦うのは―――
>志貴
シオン
遠野志貴 or
シオン vs. 翡翠&琥珀

勝利
J 戦え僕らの○○翡翠
敗北
ゲームオーバー
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