赤主秋葉
登場
遠野秋葉
「……なにかしら、この音……
テレビのノイズのような……砂が流れるような……」
琥珀
「秋葉さま……？
まだお眠りになられていないのですか？」
「このところ体調が優れないようですし、
寝苦しいのでしたら、私の血を―――」
遠野秋葉
「いえ、体の調子は悪くないわ。
気持ちだけで十分よ琥珀。」
「日に二度も貴女に頼っていては、
主人として失格だろうし。」
琥珀
「かしこまりました。
それでは冷たいものでもお持ちしましょうか？」
遠野秋葉
「それも結構よ。
……フン。ただの悪夢かと思ったけど、
実際に鳴り響いているのね、この音。」
遠野秋葉(赤主秋葉)
「いいわ。そんなに遊んでほしいなら遊んであげる。
何処の新参者かは知らないけど、私の鬼ごっこに
命乞いはないと知りなさい。」
琥珀
「お出かけですか秋葉さま。
それでは、私もお供に……？」
赤主秋葉
「そうね……それも楽しそうだけど、今夜はやめて
おくわ。圧倒的すぎるのもつまらないものよ琥珀？」
「今夜の狩りは私一人で十分。
貴女は私の帰りを待っていなさい。
翡翠と、その、お兄さんのお守りをよろしくね。」
1戦目 vs.有間都古
勝利時
「ふん。良くできた偽者だったけど、引き裂いて
しまえば中身はクズね。分家の者を模したぐらいで、
私がためらうと思って？」
4戦目 vs.軋間紅摩
遠野秋葉
「っ……！ 不愉快だわ。どうして貴方がこの町にいる
のです……？
決して訪れないと、そう約束した筈ですが。」
軋間紅摩
「……さて。本意ではない、
と言ったところで弁解にはなるまい。」
「オレがここにいるのは成り行きだ。呼び出した者の
思惑通り、鬼として振る舞うだけだが―――」
遠野秋葉
「……鬼として振る舞う、ですか。
ますます見過ごしてはおけませんね。」
「この街で鬼を呼び起こす事も、
貴方と兄さんが会う事も許しません。」
赤主秋葉
「ええ、考えようによってはいい機会だわ。
どちらが混血として優れているか、優劣をつけて
あげる……！」
軋間紅摩
「……やる気か。
あいにく、売られたケンカは断らない質でな。
遠野の赤鬼、どれほどのものか見せてもらうぞ。」
勝利時
「……写し身でありながらこの業火……ここが軋間の
統べる土地であったら、燃え尽きていたのは私の方
だったでしょうね……」
8戦目 vs.ロア
ロア
「これはこれは。
並み居る怪奇、幽鬼、魑魅魍魎の中から勝ち上がって
きたのが、君のようなお嬢さんとは。」
「さすがはこの土地を統べる混血の首魁、という
ところか。その赤い髪同様、魂まで返り血で
染まっているようだがね。」
遠野秋葉(赤主秋葉)
「……ますます不愉快だわ。
居てはならない人がここにもいるなんて。
いいかげん、失意と怒りで正気を失いそう。」
ロア
「ああ、気持ちは察するよお嬢さん。」
「そりゃあ吐き気もするだろうさ！
なにしろ、よってたかって死んだ事にした男が
生きているんだ！」
「首謀者の娘としちゃあ、黙って目を背けるか、
もう一度殺すしかないもんなあ！？」
赤主秋葉
「……そうね。
たしかロア、とおっしゃるんでしたっけ？」
「他人の体に転生してまで行き続ける蛇。
見境なく血を吸ってはしたなく増え続ける
西欧の吸血鬼らしい、実に醜悪な生のあり方ですが―――」
「―――まあ、役に立つ事もあるのね。
ええ、良くてよ生き汚い毒蛇さん？
本当、いいタイミングで現れてくれたわ、貴方。」
「不愉快な事ばかりで、いいかげん溢れ出しそう
だったの。貴方が相手なら何の遠慮もなく、
思う存分、この髪を振り乱せる―――！」
勝利時
「安心しなさい、ただ殺しただけよ。蛇の丸焼きなんて
口にあいませんから。」
9戦目 vs.オシリスの砂
オシリスの砂
「―――――――――」
赤主秋葉
「貴方がこの狂騒の原因かしら？
ずいぶんと手間のかかった舞台のようだけど、
残念ね。不細工な劇はここで終わりよ。」
※貴女の誤字
オシリスの砂
「―――――――――再演算、停止。
これより侵入個体を分解する。」
赤主秋葉
「話し合いは通じないようね。
ま、私もそんな気は、初めからありません
でしたけど。」
オシリスの砂
「侵入個体を統一言語に変換した後、最終記述を開始。
歴史を崩壊域までショートカット、その結末を
記録する。」
「演算器の血液に三割を。
七割をこの星の結晶化に使用する。」
遠野秋葉(赤主秋葉)
「っ、この異様な血の匂い……十万二十万の濃度
じゃない……。」
「……この耳障りな音、どこか聞き覚えがあると
思ったら、そういう事か。」
「このざわめきはノイズでも流砂の音でもない。
これは小さな悲鳴の重なり……数え切れない
断末魔の叫びなのね。」
赤主秋葉
「―――いいわ、遊びは終わりよ。
人助けが似合う柄ではありませんが、本気で
戦ってあげる。貴方、名前は？」
オシリスの砂
「私は冥界の鳥。
死に絶えるオシリスの砂。
霊長を救う、最後のアトラスである。」
「これより侵入個体を賢者の石に
変換する―――！」
勝利時
「あの水とも砂ともとれない赤い鉱石が賢者の石……？
万病に効くというけれど、飲めば私の体質も治ったの
かしら……？」
エピローグ
遠野秋葉
「……はあ。
アルクェイドさんにシエル先輩、夢魔にタタリに、
果ては正体不明の計算機……」
「……いくらなんでも働きすぎよね、私……街の治安
なんて放っておいて、毎日、何をするでもなく
自堕落に過ごしてみたい……」
琥珀
「秋葉さま。」
「お休みのところ申し訳ありませんが、会食の時間
です。その後はS県の新工場の開通式ですので、
そちらの支度もいたしませんと……」
遠野秋葉
「ああもう―――！
ええ、分かってるわ、すぐに行きます！」
「……まったく、倦怠にひたる暇もないんだから。
いつになったら気軽になれるのかしら……」
琥珀
「いいじゃないですか。
秋葉さまがそうやって会長業に勤しんでらっしゃる
うちは、血に溺れる事もないんですから。」
赤主秋葉
「はあ……ますます憂鬱。」
「琥珀の血とか夜ごとの反転より、世間のしがらみの
方がより強い薬だなんて……結局、一番強いのは
人間ってコトなのね……はあ。」
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