遠野秋葉

1戦目4戦目 8戦目 9戦目 エピローグ
吸血鬼シオン遠野志貴シオンオシリスの砂-

登場

琥珀
「お帰りなさいませ秋葉さま。
学園から直接総会に出られてお疲れでしょう?」

「さ、お着替えを済ませ、早く夕食といたしましょう。
今日は腕によりをかけて……」

遠野秋葉
「―――。
ごめんなさいね琥珀。ねぎらってくれるのは
嬉しいけど、その前にやる事ができたみたい。」

琥珀
「え? 秋葉さま、忘れ物ですか?
それでしたら私が取ってきますけど……」

遠野秋葉
「ふふ。そういう“物”なら良かったんですけど、
どうやら私向けの仕事のようです。」

「この街を任された遠野家の当主として、
当然の義務を果たしてくるわ。」

琥珀
「ぁ―――かしこまりました。
どうぞお気を付けて、秋葉さま。」



1戦目 vs.吸血鬼シオン
勝利時
「……今の吸血鬼……影で出来た作り物みたいだった
けど、以前、どこかで会ったような……?
おかしいわね、記憶が曖昧だわ……」



4戦目 vs.遠野志貴


遠野秋葉
「に、兄さん……!?」

遠野志貴
「秋葉……?
そんな、どうしてこんな所に?」

遠野秋葉
「そ、それはこちらの台詞です!
消灯時間はとっくに過ぎているのに、屋敷を
抜け出して何をやっているんですか!」

遠野志貴
「何をしてるって―――そうだな、黙っていても
誤解を生むだけだし、正直に言うよ。」

「俺は吸血鬼騒ぎの噂が本当かどうか確かめに
来たんだけど、秋葉は?」


遠野秋葉
「え……いえ、それは確かに、簡潔で判りやすい
説明ですけ、ど……私は、その……」

(……血の匂いに気づいてやってきた、なんて
言えないし……だいいち、むやみに遠野の血を
呼び起こさないって約束したばっかりだし―――)

「わ、私はただの散歩です!
後ろめたい事なんて微塵もありません!」

遠野志貴
「……………………そういうコトか。
秋葉。責任感があるのはいいけど、
お転婆すぎるのは問題なんじゃないかな……?」

遠野秋葉
「っ……!
と、とにかく兄さんは屋敷に帰っていてください!」

「言うことを聞いてくださらないのなら、
力ずくでも帰っていただきます!」

遠野志貴
「はあ!?
な、なんだその結論、さっきの銃を持った女の子より
メチャクチャだぞおまえ―――!?」

遠野秋葉
「な、さっきの女の子ですって……!?」




勝利時
「……ふう、これでよしっと。
兄さんがいたら気になって好きに暴れ―――
じゃなくて、自由に動けないものね。後できちんと
謝りますから、今は休んでいてください、兄さん。」



8戦目 vs.シオン

遠野秋葉
「建設途中のシュラインにこんな施設があるなんて。
私は許可した覚えはないけど―――いえ、違う。」

「シュラインはとっくに完成している筈。
建設途中だったのは、たしか一年前―――誰です!?」

シオン
「その通りです秋葉。
貴女が今まで通ってきた道は一年前のもの。
幻影の夏の再演に、貴女は付き合ってきたのです。」

遠野秋葉
「貴女は、屋敷の入り口で襲ってきた吸血鬼……?」

シオン
「帰りなさい、と言っても無駄でしょうね。大人しく
人の話を聞く貴女ではありませんし……説明しても
分かってもらえない以上、今はこうするしかない。」

「非礼は後ほどお詫びします。」

遠野秋葉
「ちょ、待ちなさいシ―――貴女!
好戦的なのはともかく、人の話を聞く貴女では
ありません、とはどういう事ですかっ!」



勝利時
「思い出したわシオン。一年前、これとまったく同じ事
があって私たちは知り合ったのよね。……それは
ともかく。あの時貴女の話を聞かなかったのは兄さん
がいたからです。そのあたり、誤解しないように。」



9戦目 vs.オシリスの砂

オシリスの砂
「―――――――――」

遠野秋葉
「え、またシオン……じゃないようね。
見たところ貴女が元凶のようだけど。」

「シオンの影か、それともイフか。理性があるのなら
話ぐらいは聞いてあげてよ、偽者さん?」

オシリスの砂
「―――――――――再演算、停止。
遠野秋葉。アナタと話す事柄は一つもない。」

「アナタは不必要な因子。すみやかに排除し、
再演を行うだけだ。」

遠野秋葉
「あらそう。良かった、話が早くて助かるわ。
私も悠長に話しているほど気長ではありませんから。」

「まず話を聞いてあげなさい、と。貴女とよく似た
他人に指摘されて、ちょっと改めてみただけです。」

オシリスの砂
「……私と、シオン・エルトナム・アトラシアが、
同一ではないと?」

遠野秋葉
「当然です。本物か偽者かなどと審議するまでもない。
だって貴女、私の知ってるシオンじゃないもの。
見分ける方法なんてそれだけで十分よ。」

オシリスの砂
「……私とは違う絶対性。
理論で構築されながらも、決定を下すのは火のような
強い感情―――それが貴女だった、遠野秋葉。」

「……なるほど。シオンが嫉妬するのもうなずける。」

遠野秋葉
「え……? 嫉妬って、シオンが私に……?」

オシリスの砂
「自己を棄てねば気が付かなかった愚かな感情。
それ故、“貴女の知るシオン”はそちらに
残っている。」

「私たちは共に残骸だが―――
生命として生きているのは、あちらのようだ。」

「では―――再演の前に、この侵入個体を分解する。
ヘル算機メスの血液に変換した後、
最終記述を開始しよう―――」
※演算器の誤字

遠野秋葉
「っ―――!」

「貴方が何者で、何を目的としているかは知らないけど
―――放っておいたら、この血の海が広がっていく
ようね。」
※貴女の誤字

「いいでしょう。
この爪が貴女を奪い尽くす前に、
名乗りを上げる事を許します―――!」

オシリスの砂
「私は冥界の鳥。
死に絶えるオシリスの砂。
霊長を救う、最後のアトラスである。」

「これより侵入個アナタ体を賢者の石に
変換する―――!」




勝利時
「……夜が明けていく……血の海も、さっきまでそこに
いた彼女の記憶も無くなっていく……。
……一つだけ訂正しないと。最期に微笑んで消えた
のは、本当に貴女らしかったわ、シオン。」



エピローグ

琥珀
「……それで秋葉さま。
昨夜の一件は、結局なんだったんでしょう?」

「志貴さんやシオンさん、翡翠ちゃんやレンさんまで
何も覚えていない、というのですが。」

遠野秋葉
「さあ? 誰も覚えていないのなら無理に思い出す事は
ないんじゃない?」

「全ては一夜限りの幻。舞台裏を無理にのぞき
こんでも、いい事なんて何もないわよ琥珀。」


琥珀
「はあ、それはそうなんですけど……」

(……むう。秋葉さまだけ覚えているっぽいです
ね……皆さんはともかく、わたしまで覚えていない
っていうのは、ちょっと悔しいんですけどね〜)

遠野秋葉
「なに琥珀、そんなに落ち着かない?
自分が知らない秘密を、私が握っているというのは?」

琥珀
「え!? い、いやですよぅ秋葉さま!
もちろん、そんなコトはぜんっぜんありません!」

「秘密の一つや二つ、むしろこっちからサービスしても
いいぐらいです!」

遠野秋葉
「え、ホントに?
負け惜しみ……じゃないわよね?」


琥珀
「はい。こっちには秋葉さまの秘密大全が
ありますから!」

「弱みの一つや二つではまだまだわたしの優位は
動きま―――あ。」

遠野秋葉
「なるほど、貴女の気持ちはよく分かりました。」

「―――さて。
食後のお茶が済み次第、ゆっっっっくり
話を聞かせてもらおうかしら?」



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