翡翠
登場
1戦目 vs.弓塚さつき
翡翠
「……書庫の整理はこれで完了、です……」
「……おや?
こんなところにスライド式の棚が……おかしいです。
以前は壁だった筈ですが……」
弓塚さつき
「ひゃー!
ごめんなさい、どいてどいてどいてーーー!」
「急がないと遅刻しちゃうーーー!
っていうかネコミミにされちゃうーーーー!」
翡翠
「きゃ……!?
ど、どちらさまでしょう!?」
弓塚さつき
「ごめんなさい、名乗れません!
事情は話せないけど、何も見なかった事にして
部屋に戻ってくれると助かるなメイドさん!」
「……そうはいきません。
こんな夜明けに侵入したばかりか、片づけたばかりの
書庫をダンプカーのように散らかされました。」
「率直に言って、貴女が投獄です。」
弓塚さつき
「え? あれれ??
メ、メイドさん、なんかすごく怒ってるけど……
もしかして、わた悪者ですかー!?」
勝利時
「……おや? 先ほどのスライドの棚の奥に……
これは隠し扉、でしょうか……?
姉さんはこんな分かりやすい物は作りませんし……
一体誰が―――あ。足、滑りました。」
4戦目 vs.白レン
翡翠
「扉から落ちてはや二時間、今度は雪原ですか……。」
「いよいよ本格的にアレな感じになってきましたが、
これは一体どういう事なのでしょうか、レンさま。」
白レン
「あれ、鈍いようで聡いのね翡翠。
ここが私の庭だって気づいていたなんて。」
「……ん? あれ?
気づいていてレ扱いしてたってコトは、
もしかしてバカにされてる……?」
「ふ―――ふふ、ふふふ。
そんなコトないわ、考えすぎよレン。」
「琥珀ならともかく、翡翠は屋敷の中では二番目の
常識人だもの。いつもケーキくれるもの。
ウメ味だけど。」
翡翠
「……………………レンさま。
出口を知っているのなら教えていただけますか?」
「いえ、そもそもあの扉は誰が作ったもの
なのでしょう?」
白レン
「ぁ……えっと、コホン。
出口なら、常に貴女の目の前にあるわ。」
「今は見えず触れないだけ。時がくれば扉は勝手に
開くから、それまで不思議の国を楽しみなさい。」
翡翠
「……では、あの扉を作ったのはレンさまだと?」
白レン
「さあ? それを口にしたらつまらないでしょう?
知りたかったらもっとアリスになりきるか……」
「それとも、あの凶暴な女王みたいに、
私を押し倒して聞き出してみる?」
翡翠
「……かしこまりました。
少々手荒くなりますが、お覚悟を。」
白レン
「あら、こわいこわい。
でもおてんばすぎるのも考えものよ翡翠?」
「あんまり生意気だと小さくなる薬を飲ませて、
吹き飛ばしてあげたくんっちゃうじゃない。」
翡翠
「レンさまにそれができるのでしたら。
ぶっちゃけ、貴女からは負け犬……いえ、
負けネコの匂いがします。」
「恐るるに足りる相手ではないかと。」
白レン
「し、失礼ね、私は負けてないわ!
あんまりにもあいつらがしつこいから、
ちょっと話し相手になっただけよ!」
勝利時
「……レンさまも閉じこめられていた……いえ、
忍び込んだ何者かを追い出せず、雪原で様子を
見ていたのですね……申し訳ありません。
レン様にかわって、わたしが事態を究明します。」
8戦目 vs.ネコアルク・カオス
ネコアルク・カオス
「キャァァァァァト!じゃなくてカァァァァァト!」
「そこ、そこの君、困るよ。
なんで元気ないの? ちゃんと朝カン食べた?」
「コーヒーはちゃんとインスタント?
豆から轢いてたらマジ承知しねぇ。」
翡翠
「………………やはり、そういう事でしたか。
姉さんから伺っています。貴方はネコカオスさま
ですね?」
ネコアルク・カオス
「いかにも。ルーカスはガセでしたが、それを機に
ネコアイドル事務所・邪にゃーズとか結成したのよ
これが。まあ、明日あたり潰れるのですが。」
「それより今の話は聞き捨てならないなレディ。」
「あのドクターアンバーが我輩を噂するとは……ふふ、
ふふふ……ついに吾輩のダンディーさに気が
付いたか……それで翡翠くん、ドクターはなんと?」
翡翠
「キモい。消えろ。今度こそ根絶やしにする。
……そう、仕込み箒を握りしめながら呟いて
おりましたが。」
ネコアルク・カオス
「―――まあ、そんな話よりうちの妹の話しようぜ。
つまり君。君の話だよ翡翠くん。」
「せっかく主演女優に抜擢したのにまるで使えません。
その棒読み、なんとかにゃらんかね。」
翡翠
「…………………。
これは個性というものです。」
「ですが、ネコカオスさまがどうしてもというのなら、
少々本気で演技をしてあげてもよろしいのですが。」
ネコアルク・カオス
「うむ、許可する。
こう、ジェイムスに寄りそうボンドガールになった
気分で甘えてみてくれないかね。」
「―――言うまでもないが、007はワタシだ。」
※007…まるまるせぶん
コードネームの読み方は正しくは「ダブル・オー・セブン」であるが、
過去の作品では「ゼロ・ゼロ・セブン」と吹き替えされているものもある。
翡翠
「はい。それでは―――」
「殺しますパチネコ。ふやけたクッキーなど
褒め過ぎです。貴方がたは破れた雑巾以下の造形物。」
「今すぐその両頬を掴み、それこそ古紙のように
脳天から真っ二つにした後、五寸釘を針がわりに、
バラ線を糸がわりにして縫いつけて、痛い、助けて、」
「いっそ優しく殺して、と泣き叫ぶ口に大量のタマネギ
をごちそうします。もちろん、タマネギだけでは味気
ないので調味料としてブラックパウダーを混ぜ、」
「しかるに火を付けたマッチを投下。成層圏まで
飛ばし、爆散を確認した後、これを新技バスター
キャットと命名し―――」
ネコアルク・カオス
「ひいい、なんという演技力!
君、ジャパンホラーとかに興味はあるかね!?」
「今ならハリウッドに買われてから逆輸入とかされて、
気が付けばロボットものになってたりするぜ!?」
翡翠
「まったくありません。
今はネコカオスさまをどう料理するか、
それだけで胸がいっぱいですので。」
ネコアルク・カオス
「こぇええええええ!
そしてなんという大人気!」
「んー、姉にも妹にも想われるなんて、
吾輩いまモテ期じゃね?」
勝利時
「……姉さんの気持ち分かりました。
これは、かつてない悪夢です。」
敗北時
「うむ、実にいけると見たね。あれだ、その鉄の
演技力をいかして殺人ロボット役のヒロインとか
どうかな? え? うそ、もうメカメイドいるの!?
どうなってんだよこのゲーム!」
9戦目 vs.ネコアルク
ネコアルク
「夢はうつろ。うつろは夢。
猫はうつつ。うつつは猫。」
「にゃっにゃっにゃっ。ようこそ偉大なるネコが見る
夢の世界―――グレートキャッツビレッジへ!」
「さあ、物語もクライマックスになってまいりました。
いよいよ宗教裁判の時間ですが、弁護人の用意は
できてるかにゃ沈黙メイド?」
翡翠
「やはり黒幕は貴女でしたか。
……清掃を始める前にお訊きしますが。
あの扉は、姉さんを追いつめる為に?」
ネコアルク
「んー? べっつにー、あの割烹着は中々の英傑。
世の中を混乱させる競争相手として、末永く
からかっていきたい。」
「あのヘブンスドアーは屋敷に侵入して、ネコカンとか
ゲンナマとかちょっぱるタメのショートカット。
ま、いま風に言うと電脳戦ってヤツですな。」
翡翠
「―――そうですか。
対姉さん用の措置なら、多少は見逃そうと思った
のですが……」
ネコアルク
「割烹着……なんと姉思いの妹を持ったものよ……。
ところで沈黙メイド、今回の趣向は気に入って
くれたかにゃ?」
「言うまでもありませんが、この夢冒険はドジスンの
アリスをモチーフにしてみました。ふふ……この
忠実な再現度、我ながら神がかっている……」
「まあ、アリスっていうには翡翠さんはちょいと
トウがたっていますけどネ!」
翡翠
「―――そうですか。
ではアリス役らしく、このネコ王国を壊滅させて
いただきます。」
勝利時
「では、図書館に戻してください。
……え? まだ早い? これは三部構成のうちの
一部目にすぎない……? 困りました……そんなに
疲れていたんでしょうか、わたし。」
エピローグ
遠野志貴
「翡翠ー、図書室の整理、手伝いに―――」
琥珀
「しぃ! しぃーです志貴さん!
いい感じでお昼寝している翡翠ちゃんを起こしては
いけません!」
遠野志貴
「とっ―――ご、ごめん琥珀さん。
……けど大したもんだな。あれだけ散らかってた
図書室の整理、もう終わってるなんて。」
琥珀
「翡翠ちゃんの得意分野かつ、お気に入りの場所
ですからねー。いつもより気合いが入りすぎて、
そのまま眠ってしまったのでしょう。」
「なので、志貴さん?」
遠野志貴
「分かってます、秋葉には内緒ですね。
じゃ、目を覚ますまで図書室の平穏を守ると
しますか。」
琥珀
「はい♪
話の分かる志貴さんは花マルです♪」
(翡翠)
「……ん……そんな……姉さんが、ついに
というか……やっぱりというか……屋敷の地下で、
あんなもの、を……」
遠野志貴
「あれ? でも、なんとなく魘されているような?
……ま、悪い夢ってワケじゃなさそうだし、いっか。
きっと目が回るぐらい楽しい夢なんだろうな。」
(翡翠)
「……そして予想通りの騙されっぷりです、遠野志貴
さま……ああ、また姉さんの人騒がせな発明が……
でも、その、正直自業自得です、志貴さま……」
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