翡翠&琥珀
登場
翡翠
「……志貴さまも秋葉さまもお部屋にはおられない
ようです。
やはり、街の方に向かわれたのでしょうか……?」
琥珀
「そのようですねー。
もう、お二人とも体調が芳しくないのに、
ご無理をなさるんですから。」
翡翠
「? 夏場ですし、志貴さまが貧血気味なのは
知っていましたが……秋葉さまも?
……夏風邪でしょうか、姉さん?」
琥珀
「え? いえいえ、志貴さんはいつものコトですが、
秋葉さまは逆ですよ、逆。」
「ま、ここで心配していても始まりません。
わたしたちのお仕事はお屋敷の手入れと、
お二人の健康を守ること。つまり―――」
翡翠
「……承知しています。」
「職務からは少々逸脱しますが、
わたしたちも街に向かい、陰ながらお二人を
お助けいたしましょう……!」
琥珀(アンバー)
(……おやおや。志貴さんはともかく秋葉さまは
ちょーと違うんですけど……まあ、楽しそうだから
黙っているとしましょうか☆)
1戦目 vs.シエル
勝利時
翡翠
「お客様を、お帰りです。」
琥珀
「ええ、勢いをつけるには調度いい相手でした。
では、行きましょう翡翠ちゃん!」
翡翠
「……しかし。なぜシエルさまがここに……?」
4戦目 vs.リーズバイフェ
琥珀
「……と、ここは空港、ですか。
随分と遠くまで来ちゃいましたけど……翡翠ちゃん
道、こっちで合ってるんですか?」
翡翠
「迷いました。」
琥珀
「へ?」
翡翠
「姉さんが迷いました。
志貴さまらしき人影を高層ビルで見かけた、と
情報を手に入れたのに……」
琥珀
「わ、わたしのせいですかぁ!?」
「た、たしかに赤信号に十連続つかまってこう、
イライラしてアクセルターンとかかましましたけど!
基本、近道になった筈です!」
翡翠
「…………赤信号にぶつかるごとにターンするのは
どうかと。」
琥珀
「うっ……だ、大丈夫、道に迷った時は人に訊けば
いいんです!
ほら、ちょうど人がやってきました!」
リーズバイフェ
「―――君たちは……善良な市民ではないようだな。
とくにそちらのキモノの方。見るからに怪しい。
手荒いが話を聞かせてもらおうか。」
琥珀
「あ、いぇ……!?
な、なんでそういう流れになるんですかぁ!?」
翡翠
「唐突ですが、私的に納得のいく流れかと。
姉さんは日頃の行いをもう少し改めてください。」
勝利時
翡翠
「無事ですか姉さん? ……なにか、いいパンチが
おなかに入ったようでしたが……」
琥珀
「へ、へーき、へーきよ、翡翠ちゃん……アタタ、
今の方、琥珀的に苦手ですぅ……」
8戦目 vs.遠野秋葉
遠野秋葉
「……貴女たち。
また懲りずに私を追いかけてきたのね。
悪い事は言わないから、怪我をする前に帰りなさい。」
翡翠
「……申し訳ありません秋葉さま。使用人の分を
超えた事だと承知しております。」
「……ですが、お二人の体調が優れないと聞いて、
じっとしている事もできなくて……」
遠野秋葉
「え? 体調が悪いって、私が?
そんなワケないでしょう。バカ言わないで翡翠。
調子が良すぎて、逆に困ってるぐらいなのよ?」
琥珀
「はい。ですから、それが“芳しくない”んです
秋葉さま♥」
「志貴さんはこの霧にあてられて貧血になってます
けど、秋葉さまの場合、高揚しすぎて踏み外しそう
なんじゃないですか……」
「って、ははあん、もしかして。
もう、何人か手込めにしちゃった後だとか?」
遠野秋葉
「え―――そ、そんな事はないけ、けど?
ちょっと気力が充実していて、気を抜くと歯止めが
きかなくなるだけよ?」
「別に、貴女に心配されるような状態じゃないわ。」
琥珀
「あやしいですね〜。
秋葉さま、実は自覚あると見ました!」
「遠野家のため、ひいては最後に被害を被る志貴さんの
ため、ちょっと身体検査をさせていただきますね♥」
遠野秋葉
「ひ、必要ありません! か、帰りなさい琥珀、
それ以上近寄ると怒るわよ!?」
翡翠
「……たしかに秋葉さまの様子はおかしいですね。
姉さんが、たまには名推理です。」
勝利時
琥珀
「あー! 秋葉さま、逃げたー!」
翡翠
「……はい。さすがは秋葉さま。
あれだけ暴れられて、まだ力を残しているとは。
早く止めないとタイヘンな事になります。」
9戦目 vs.赤主秋葉
赤主秋葉
「よくもやってくれたわね二人とも。
減給は当然として、その体も、残った有給も
木っ端微塵になる覚悟はあって?」
琥珀
「ちょっと待った、意義ありです!
今まで有給なんて使わせてくれなかったじゃ
ないですか秋葉さま!」
翡翠
「……姉さん、その話は後に。
秋葉さま。これは一体どういう事なのですか?
……まさか、志貴さまはもう―――」
赤主秋葉
「兄さんの居場所ならこっちが知りたいぐらいです!
せっかくタタリを倒してパワーアップしたのに、
肝心の兄さんがいないなんて……」
琥珀(アンバー)
「ふふふ、灯台もと暗し。
志貴さんはお屋敷の地下で、ゆっくりお休み中
ですよ秋葉さま♥」
赤主秋葉
「な、なんですって!?
琥珀、貴女……!」
琥珀(アンバー)
「秋葉さまが怪しげな霧にたぶらかされそうだった
ので、先手を打っておいたんです。」
「今の秋葉さまと出会ったら、志貴さん、
昔の志貴さんに戻っちゃいますからねー。」
「兄妹で殺し合いなんかしないよう、
使用人として手を尽くさせていただきました。」
赤主秋葉
「っ……! さ、さすがね琥珀。
真っ先に貴女を黙らせておくべきだったわ。」
翡翠
「……姉さん。」
「秋葉さまが良くないものに憑かれている、
と知っていたのなら、まず秋葉をお助け
するべきだったのでは……」
赤主秋葉
「無駄よ翡翠、琥珀にそんな常識を期待しちゃあ。
この女はね、楽しければなんだっていいって
性格なんだから!」
琥珀
「そんな、誤解です秋葉さま!
秋葉さまに取り憑いたタタリは力づくでないと
取り除けないと知って、わたしは……!」
赤主秋葉
「いい機会だから、私が悪役になるまで放置して、
思いっきり叩いたり蹴ったりしたかった、かしら?」
琥珀
「げげ、バレてる!?」
「そ、そんな、秋葉さまったら、タタリの影響で
読心術までマスターしちゃうなんて……ますます
人間離れしていきますね、キャー☆」
赤主秋葉
「ふ、ふふふ、ふふふふ……!!
いい機会なのにこちらの方です!
覚悟なさい琥珀、今日こそ白黒つけてあげます!」
翡翠
「……姉さんの、巻き添えです。」
勝利時
琥珀
「ふう、除霊完了〜♪ 秋葉さまも元通りで、
街の平和も守られました。」
翡翠
「……申し訳ありません秋葉さま。
後ほど、姉さんと一緒に謝りにいきますから……」
エピローグ
琥珀
「―――と、そういうワケだったんです志貴さん。」
「すべては街の平和のため。」
「後で怒られると分かっていながら、わたしは
心を鬼にして秋葉さまで遊、こほん、秋葉さまに
辛苦を負っていただいたんですよ?」
遠野志貴
「あー、いや……ま、ま、やり方に問題がった
みたいだけど、終わりよければ全て良しとも言うし。」
「い、いいんじゃないかな!
誰も犠牲者はでなかったんだし、二人とも無事
帰ってきたんだし!」
「……それで、翡翠。秋葉は……?」
翡翠
「……はい。今はお部屋でお休みになっておられます。
あと半日もすれば目を覚まされるかと。」
遠野志貴
「そっか。秋葉も無事なら文句のつけようがない。
ま、秋葉が起きたらタイヘンだろうけど、
三人がかりならフォローできる……かな?」
琥珀
「さっすが志貴さん、話がわかります!
志貴さんが協力してくださるなら、永久凍土なみに
頑なな秋葉さまも一撃です!」
翡翠
「……そうですね。
もしかしたら、逆に喜んでくれるかもしれません。」
琥珀
「はい、そんなワケで事件解決。
で、聞いてください志貴さん、秋葉さまったら―――」
遠野志貴
「はあ……まあ、二人が楽しかったのなら、
それでいいのかな?」
翡翠
「―――はい。
結局、姉さんは秋葉さまを助けたかっただけ
ですから。」
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