エピローグ


オシリスの砂
「あ、あ―――賢者の石が―――溶けていく―――
私の―――いいえ―――貴方を救う為に作り上げた
かった―――死も、吸血鬼化も癒す、命の水が。」

リーズバイフェ
「…………それは良くない夢だ。
私は一瞬たりとも悪夢など見なかったが。」

「……君は倒錯した時間の中で、永劫に近い悪夢に
魘されていたのだな、シオン。」

オシリスの砂
「―――リーズバイフェ……?
―――そうだ。私は、貴方に謝らないと。」

「貴方に助けてもらったのに、私は、不甲斐なくて。
ワラキアの手で吸血鬼にされて―――」

「―――ああ、貴女の杭が、刺さっている。
……良かった。残骸は私の方で、今もシオンは
吸血鬼化と戦っているだろうけど。」

「この私は、最期に、貴女の手で―――」

リーズバイフェ
「……そうだな。
すまないシオン。二度も君を、この手で貫いた。」

オシリスの砂
「いえ。それでいいのですリーズバイフェ。
聖盾に選ばれた守護の騎士よ。」

「貴女はその名の通り―――最後まで、私の魂を
守ってくれた。」

リーズバイフェ
「そうであったのなら嬉しいな。
……さあ、眠りなさいシオン。
今度こそ、悪い夢に捕まらないように。」

オシリスの砂
「ええ。……おやすみなさい、リーズ。
貴女にも、良い―――」

リーズバイフェ
「……ああ。私も次は、夢のある眠りに落ちるよ。
カーテンコールは二度とない。
一夜かぎりの悪夢は、これで本当におしまいだ。」

「……私も眠くなってきた。
少しだけ後のことが心配だけど、あの代行者が
うまくやってくれるだろう。」

「……さようならシオン。
叶うのなら、この暗闇の後に、
貴女と再会できる事を願って―――」

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