吸血鬼シオン

1戦目4戦目 8戦目 9戦目 エピローグ
レンロアワラキアの夜オシリスの砂-

登場

吸血鬼シオン
「……耳鳴りがする……この雑音は……
私を、呼んでいる……?」

「……いいだろう。
この体も今夜が限界だ。夜が明ければ、
私は身体ばかりか魂まで吸血鬼に堕ちる。」

「その前に今度こそタタリを―――
ワラキアの夜を倒し、私が―――
―――私が、新しい“タタリ”に―――」



1戦目 vs.レン
勝利時
「使い魔如きが今の私を止められるものか。
―――そうだ、もうどうでもいい。
邪魔するモノは、すべてこの爪と牙で
排除してやる……!」



4戦目 vs.ロア

吸血鬼シオン
「ここは……地下墓地……?
そんな馬鹿な。この街にはこれだけの規模の
地下空洞はなかった筈―――」

ロア
「―――あん?
何かと思えばなり損ないか。どうやら死徒としての
マナーも知らないらしい。」

「人の寝床には、断りもなしに侵入はいってくる
もんじゃない。そんなものはおまえ、たとえ人間でも
常識だろう?」

吸血鬼シオン
「……何者だ? この街で再現される死徒……
タタリの規模は判明している。」

「以前、おまえのような死徒はいなかった筈だが……
以前? 以前とは、何だ?」

ロア
「これは興ざめだな。
原因であるおまえが、この夜の正体に気づいて
いないとは。」

「これは私にも目が出てきた。
おまえを支配下におけば、
私がタタリになる可能性もある。」

「なにしろ―――こと繰り返しに関しては、
オレは誰よりも馴れている。」


吸血鬼シオン
「世迷い言を……!
名のある死徒らしいが、たたりの後継は私だ……!
誰にくれてやる気はない!」



勝利時
「……今のは……噂に聞くアカシャの蛇か。
繰り返し……まさか、この夜は二度目のタタリだと
でも言うのか―――」



8戦目 vs.ワラキアの夜

ワラキアの夜
「ようこそシオン。」

「いまだ精神は人のままだが、肉体は完全に吸血鬼に
なったようだ。おめでとう。先達として、これほど
喜ばしい事はない。」

吸血鬼シオン
「……………………」

ワラキアの夜
「ん? どうしたね、いつもの憎まれ口は?」

「錬金術師としての君ならエルトナムの誇りを叫び、
吸血鬼としての君ならタタリを襲名する為の怨念を
吐き出す筈なのだが……むむ。」

「これは、私の舞台勘も鈍ったかな?」

吸血鬼シオン
「…………そういう、事か。」

「この三年、私が吸血鬼と戦っていたように……
おまえに飲まれた私の血も、タタリと戦っていた
のか。」

ワラキアの夜
「?? それはどういう事かねシオン?
私に飲まれた君? たった3リットル程度の血液が、
私と戦っていたと?」

吸血鬼シオン
「―――勿論、勝ち目のない戦いだ。
だが貴様は人間に敗れ、タタリとしての座を失った。
その空いた席に私の血は座ったのだろう。」


「……そこをどけ敗者。
奈落に堕ちた役者に次はないと謳ったのは
貴様自身だ。」

ワラキアの夜
「―――ふむ。ノウの舞台の中心には奈落と呼ばれる
穴がある。」

「本来は小道具を収納する隙間だが―――同時に、
不出来な役者が足を滑らす淵でもあるらしいな。
私は、とうに奈落に堕ちていたと?」

吸血鬼シオン
「そうだ。納得がいかないのなら、
今度は私の手で直接たたき落としてやろう。
三文役者には相応しい幕切れだ。」



勝利時
「ふ―――はは、はははははは!
消え去るがいいズェピア!
タタリの二つ名は、この私にこそ相応しい……!」



9戦目 vs.オシリスの砂

オシリスの砂
「―――感情はとうに廃しているが。
自身の最悪の状態を目の当たりにするのは
気が重いな。」

「処理が落ちる、とはこの事か。」

吸血鬼シオン
「……それは私の台詞だ。
二十七祖になった私の姿がおまえだと?」

「おまえは―――吸血鬼ではない。
超越者としての矜持も責務も感じない。」

オシリスの砂
「その通りだ吸血鬼。
私は二十七祖の一角だが、吸血鬼ではない。」

「生き延びる為に同族の血など必要としない。
そもそも、生き延びるという選択を選ばない。」

「私はこの国を知る前の
シオン・エルトナム・アトラシア。」

「タタリになど関わらず、ありのままの姿で
アトラスの長に辿り着いた、霊長の未来を守護する
アトラスの巨人。」

「人に落ちたシオかのじょとも、魔に堕ちた
シオンおまえとも違う。私はオシリスの砂。
霊子演算ヘルメス機と共に終末を翔る預言者。」
※演算器の誤字?

「未来を悲観し、そこに希望を持たなくなった、
冥界の鳥である。」

吸血鬼シオン
「―――なるほど。エルトナムとして迷いを持った
まま学院で暮らしていれば、たしかにその考えに至るだろうな。」


「は―――はは、あはははは!
いいだろう、ズタズタに壊してやるエルトナム!」

「そうだ、私はずっと―――自分を、完膚無きまでに
おかしたかった!」



エピローグ

吸血鬼シオン
「―――未来に救いはない。
救いのないモノを生存させる事はできない。
故に―――その滅びを、永遠に記録する、か。」

「バカバカしい。
そんな結末に何の愉しみがあるオシリス。」

「これだけの賢者の石―――」

「砂のように細かく、宝石のように輝き、命のように
甘い記憶媒体を作り上げておいて、そんな結末しか
選べなかったなんて!」

「私は違う。
私は愉しみを覚えた。」

「人間の苦悩としう、何にも勝る美酒を
知ったのだから!」

「そうだ、アトラスの錬金術師としての私では
オシリスに堕ちる。」

「なら今の私……吸血鬼になったシオン・エルトナム
こそ、霊長の未来を憂いるに相応しい。」

「さあ、一切の痕跡なくこの砂に融けるがいい
オシリス。
おまえの技術は私が使ってやる。」

「統計と乱数の狭間。円環と螺旋の地獄。」

「私は新しいタタリ―――賢者の石をもっ
世界を永遠の悪夢に閉じこめる、黒い大地
そのものになるのだから―――!」



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