エピローグ


吸血鬼シオン
「―――未来に救いはない。
救いのないモノを生存させる事はできない。
故に―――その滅びを、永遠に記録する、か。」

「バカバカしい。
そんな結末に何の愉しみがあるオシリス。」

「これだけの賢者の石―――」

「砂のように細かく、宝石のように輝き、命のように
甘い記憶媒体を作り上げておいて、そんな結末しか
選べなかったなんて!」

「私は違う。
私は愉しみを覚えた。」

「人間の苦悩としう、何にも勝る美酒を
知ったのだから!」

「そうだ、アトラスの錬金術師としての私では
オシリスに堕ちる。」

「なら今の私……吸血鬼になったシオン・エルトナム
こそ、霊長の未来を憂いるに相応しい。」

「さあ、一切の痕跡なくこの砂に融けるがいい
オシリス。
おまえの技術は私が使ってやる。」

「統計と乱数の狭間。円環と螺旋の地獄。」

「私は新しいタタリ―――賢者の石をもっ
世界を永遠の悪夢に閉じこめる、黒い大地
そのものになるのだから―――!」

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