暴走アルクェイド
登場
暴走アルクェイド
「……最悪の気分ね。頭は空っぽ、手足はスカスカ、
胃袋はそもそも無し。」
「こんなんで吸血鬼だなんて、
笑い話を通りこして泣けてくるわ。」
「なに、今度は悲劇のヒロインでも気取れっていうの、
アルクェイド?」
「でも残念ねぇ。
あいにく、こっちがやる気をなくしても
獲物の方からやって来たみたい。」
「ほんと、いっけないんだあ。この街の人間がみんな
殺される事になっちゃうのは、こんな真夜中に遊び
歩いている貴女のせいよ、お嬢さん?」
1戦目 vs.有間都古
勝利時
「あはははははは!やっぱり吸血鬼はこうで
なくっちゃ!残念ねアルクェイド、千遍万遍
繰り返そうと、貴女は惨劇のヒロインなのよ!」
4戦目 vs.シエル
シエル
「……空想具現化というのは厄介ですね。
彼女の吸血衝動から漏れた、一握りの残滓さえ
カタチになるとは。」
暴走アルクェイド
「あら。ようやくお出まし、代行者さん?
いいわ、退屈していたの。ダンスの相手に
なってくれるかしら?」
シエル
「ええ。手を取り合って、とはいきませんが、
最期まで付き合ってあげましょう。」
「一夜限りの写し身。無目的で生み落とされ、
無責任に壊れていく貴女に、同情ぐらいは
してあげますから。」
暴走アルクェイド
「あはは、もうさいっっっこうに嫌味な女ね貴女!
同情なんて、食べられるだけの家畜に向けるもの
だってのに!」
「ああもう、だから大好きよシエル!
わたしを本気で蔑んでくれるのは貴女ぐらいだわ!」
勝利時
「あー、終わっちゃったかあ。
楽しい時間ほどすぐ終わるって言うけど……
なにも二分程度で終わるコトはないんじゃない?」
8戦目 vs.リーズバイフェ
リーズバイフェ
「……血に汚れた妄想が徘徊するとはな。
真祖は空想ですら人を侵すというが、
君はその証明か。」
暴走アルクェイド
「そういうアナタはただの記録ね。
イメージにすぎない吸血鬼と、
メモリーにすぎない聖堂騎士。」
「なに、お互いゴミってコトで、
仲良く殺し合うってワケ?」
リーズバイフェ
「そうだ。この身がどれほど汚れようと、
君がどれほど虚ろであろうと、
やるべき事は変わらない。」
「滅びよ吸血鬼。
ガマリエルの鉄塊は、その“何も無い”
心臓であろうと粉砕する。」
勝利時
「盾の聖典、魔を弾く城塞の乙女もこの程度か。
ドラクルアンカーの使い手としちゃ二番目ね、貴女。」
9戦目 vs.オシリスの砂
オシリスの砂
「―――――――――」
暴走アルクェイド
「へえ。これがわたしをカタチにしたタタリねぇ。」
「また重苦しい表情しちゃって、
なに、人間の守護者ってヤツ?
気にくわないから壊していい?」
オシリスの砂
「―――――――――再演算、停止。」
「不可解だ、真祖の端末。
アナタの行動原理は滅び。私の目的と一致する。
私への妨害は、アナタの意義を放棄する事に等しい。」
「アナタは夜明けと共に消え去る。
だがその目的は私によって果たされる。
私と敵対する意味が、一点の揺らぎもなく皆無だ。」
暴走アルクェイド
「はあ? 貴女、本当にもと人間?
そりゃあわたしの意義っていったら人類皆殺し
だけど、完璧な滅びが目的ってワケじゃないわ。」
「いい? わたしはただ、一人でも多くの人間を
殺したいだけ。」
「それを突き詰めたら、結果的に
“みんな死んじゃった”未来になるだけじゃない!」
オシリスの砂
「――――――愚かな。
では、殺す事だけが目的だと?
何かを得る為の殺害ではなく?」
暴走アルクェイド
「そういう事。
わたしはあと二時間程度で消えるんでしょ?
なら、貴女が世界をどうこうしようと関係ない。」
「わたしは、わたしが消え去る前に一人でも多くの
人間を殺すだけ。
そうでしょう、人間のカタチをしたお嬢さん?」
オシリスの砂
「―――所詮は知識のない個体。
今を生きるだけの動物か。」
「いいだろう。その蓄え続けた血液の回収をする。」
「私はオシリスの砂。
アナタのカタチを与え、アナタのカタチを消す、
アナタのカタチを埋める冥界の具現である。」
エピローグ
暴走アルクェイド
「賢者の石ねぇ……せっかく錬金術の最奥に
辿り着いたのに、使い方を間違えるなんて
笑っちゃうわ。」
「一切をゼロにして死を癒すってアプローチ?
残念だけど、それ、とっくに試されてるから
使い古しもいいところよ、お嬢さん。」
「かくして魔王は消え、
一夜限りの吸血鬼も消え去る、か。」
「……ああ、本当最悪。
なーにが人を殺せれば満足よ。
踏み潰せたのはたった十匹。」
「それもほとんどがわたしと同じ偽者ときた。
作り物の舞台だって、ここまでの茶番は
ないんじゃない?」
「でもま、それもここでおしまいっと。
ま、なんて言うか……夜明けと共に消えるなんて、
ちょっと悲劇風よね?」
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