琥珀
「秋葉さま、お飲み物の支度ができましたが」
紅赤朱秋葉
「ありがとう琥珀。
今日は庭でいただくから、こっちに持ってきてちょうだい」
琥珀
「よろしいのですか?
今日はとくに陽射しが強うございますが」
紅赤朱秋葉
「いいのよ、夏だもの。
雪が降るのに比べたら、強い陽射しだって愛しいわ。
それに――――」
琥珀
「ふふ。
志貴さんもレンさんも楽しそうですしね」
紅赤朱秋葉
「ええ。
少し妬けるけど、兄さんが元気になったのはいいコトです。
まあ、あくまでついでですけど。
町を預かる者として、物騒な事件は放っておけませんでしたから」
琥珀
「あらあら。
素直じゃありませんね秋葉さま」
紅赤朱秋葉
「当然よ。
だって私が素直になったら、あの人が困ってしまうでしょう?
出来た妹としてそんな事はできないわ。
けど、……そうね。
たまには遠野家の当主として、兄さんを困らせてみようかしら?」